昭和電器株式会社 滝澤 規雄 社長

豊富なプラスチック加工実績を持ち、80年以上の歴史がある「昭和電器株式会社」。

同社の福島県事業所ではベトナム人技能実習生の受け入れからスタートし、

2019年よりベトナム人材の直接雇用を始めました。

技能実習生の受け入れから直接雇用に至るまでのお話、受け入れ成功の秘訣を、

昭和電器株式会社 社長の 滝澤 規雄 様に伺いました。

ベトナム人実習生を受け入れたのは、いつ頃からですか?

2年前に、ベトナムから6名の実習生を受け入れました。20年以上昔は福島県に南米人が多く、一緒に働いていた実績もありましたが、それ以降、外国人社員はいませんでした。採用する考えはありましたが、やはり日本人のほうが楽だからという気持ちもあり、踏み切れていませんでした。

あるとき、友人である同業種を営む社長がベトナムに工場を建てるというので、ベトナムで通訳を採用する場面に同行したんです。私たちはガスメーター計量器を製造していますが、今後ベトナムにニーズがあることを実感し、ベトナム人材採用に関心を持ちました。将来的に、海外展開を広げていきたいですね。現地のニーズを汲んでこれるような人材も必要なので、実習生だけでなく直接雇用も始めました。

なるほど、今後の事業展開に必要な人材なのですね。とはいえ、外国人社員を受け入れるうえで苦労はありませんでしたか?

外国人を受け入れることに、最初はハードルがありました。現場からは「英語すら話せないよ」という声もありました。しかし、嬉しかったことに、現場の責任者が「うちの会社にも外国人が来るんだよ!楽しもうよ!」と声掛けをしてくれたんです。それ以降は、翻訳のアプリをダウンロードしたり、入社に備えるようになりました。

いざ入社してみると、真面目なベトナム社員たちは皆に可愛がられています。そこまでしなくてもいいと思うぐらい、生活面もサポートしていたり。家に足りないものをあげたりしているようです(笑)

日本人と比較すると、「自分で何とかしよう」という意識が強いなと思います。ある意味、国に頼っていられないというか。「自分はこうなりたい、だからこれをやる」といった考えを持っている社員が多いです。家族意識が強いことは、日本と同じ農業国家だなと感じます。

現場の皆さんに馴染んでいる様子が伺えます。ベトナム社員とのコミュニケーションで気を付けているポイントはありますか?

考えていることをはっきり言う、言ってもらう、ということですかね。ただでさえ難しい日本語を学んでいるのに、オブラートに包むと伝わらない。日本的な美徳ではあると思いますが、ビジネスの場ではハッキリさせておいたほうが良いと思います。入社前に用意した翻訳アプリも、最初のころはよく使っていました。上手く伝わらない言葉の違いを説明するのに役立ちましたね。

「社員座談会」のようなものは、それ自体が目的になってしまいそうなので取り入れていません。それより、日常のコミュニケーションの回数を増やす、声を掛けるハードルを下げる、ということを重視しています。ベトナム社員同士のコミュニケーションの場をシャットダウンしないことも気を付けていますね。

また、第三者を通さずに外国人採用を行うことはありません。技能実習生のときはもちろん送り出し機関ですし、直接雇用にはゴーウェルさんを通しています。「社員は家族」と言えども、閉鎖された環境になるのは良くないと思っているからです。会社の外に相談する場所を設けておくことが大切だと思います。

ベトナム社員を受け入れてから、社内に変化はありましたか?

”人に教えること”を改めました。

職人の集まりなので「背中で覚えろ!」という場面がよくあるのですが、言葉や文化がわかっている者同士だから背中で覚えられる。私たちはモノづくりをしているので、受注した際、作業の手順書のようなものをつくります。これまでなら「何となく分かるよね」という手順を省いて書いてしまっていました。例えば、「製品が汚れていないか確認する」のような。でも、文化が異なる人だったらわからないですよね。

すべてをきちんと言葉にすることによって、日本人社員にとっても「何となく」が減り、プラスになっています。

これから外国人採用を考える方に、アドバイスをお願いします。

「外国人を採用してみたい、人が足りない」という声はよく聞きます。採用ニーズは必ずあるはずです。弊社の場合はベトナム進出でしたが、ニーズがあるなら、まず採用してみるべきだと思います。