国内トップシェアの建設機械製造メーカー「加藤製作所」様
外国人採用を軸に「昔ながらの日本企業のコミュニケーション」の原点にかえる

株式会社 加藤製作所
執行役員 総務人事部 部長 川上 利明 様
総務人事部 係長 稲垣 忠 様

外国人を採用することになったきっかけを教えてください。

川上部長 2016年に東南アジア拠点として稼働を始めた「タイ工場」の生産力を上げるため、タイ人のスタッフが必要でした。日本の本社や工場で経験を積んだあと、いずれはタイ工場で現地スタッフと日本本社のパイプ役として活躍してもらえる人材を探していました。

外国人採用にあたり、どのような苦労がございましたか?

川上部長 課題は「人材の定着」です。日本で1,2年経験を積んだあとは、タイ工場に転籍することになります。日本語も勉強してきた優秀な人材であるが故に、将来を考え退職してしまう点が課題でした。一方、転職を考えるということは将来を真面目に考えているということでもあります。真面目に、誠実に、加藤製作所の未来を創ることができるメンバーを探していました。

稲垣係長 「誠実」というのは採用のキーワードであり、加藤製作所が大切にしている価値観でもあります。よく外国人から「日本人の真面目さを学びたくて、日本に来た」といったフレーズを聞きます。その「日本人らしい真面目さ」を、ゴーウェル経由で採用した2名のタイ人材にも感じました。

定着の課題はどのように解決されたのでしょうか?

稲垣係長 社内で行ったこととしては、配属先に「日本人と同じ扱いにしてほしい」と依頼しました。彼らはタイ工場の将来を担う人材なので、一次面接の段階から「いずれは責任者になるんだぞ、頼むぞ」と、特別な存在であることを伝えています。ただし、社内では、特別だけど特別扱いしない。自然体なコミュニケーションを心がけています。

とはいえ、日本語が不十分であることは当然です。身振り手振りが必要な場面もあります。なので、それぞれの配属先で定着ケアをする「専属トレーナー」を配置しました。

このように社内で行ったことが半分、もう半分はゴーウェルの採用後のケアでした。日本にいる外国人社員は、社外に相談できる先がない。例えば日本人の新卒社員なら、大学の友人と会社の話をして、「自分の会社はまだ良いな」なんて思える場面があると思います。それが外国人社員には無いのが普通なのですが、「KATO以外の帰る場所」にゴーウェル(GOWELL TOWN)がなっていただいたことはとてもラッキーでした。入社直後、本当に入社して大丈夫だったのか不安になる、まだKATOを信じ切れていないときにゴーウェル(GOWELL TOWN)のみなさんが相談に乗りながら、客観的な意見で「大丈夫だよ」と言っていただけたことが大きかったです。

(写真左:稲垣係長 写真右:川上部長)

外国人採用後に御社内の変化はありましたか?

川上部長 外国人採用が、「日本企業のコミュニケーションのありかた」を見直すきっかけになりました。今のタイを見ていると、日本の30年前の雰囲気を思い出します。半年に1回社内旅行をしたり、家族を呼んで運動会をしたり…。何かあったとき相談できる人がいるのがいい会社、という風土がタイにはあります。このような濃いコミュニケーションが、いまの日本では薄れていますよね。時代ですので、会社全体を変えることはできませんが、タイ人社員ひとりひとりにはケアが必要だと思っています。

稲垣係長 タイ工場にいくと、すごく雰囲気が良いと感じるんです。日本企業としてのKATOの水準を守りながら、タイの気質にどれだけ合わせられるか、いつも試しています。飲み会でも、サンドイッチとコーヒーでも良いのですが、「仕事じゃないところでのコミュニケーション」が重要だと思います。門の外に出て、なんでもない話をする。スーツではなく、私服で趣味の話をする。私自身も上司にやってもらっていたことです。もともと日本の企業が持っていた良さ、KATOであれば123年積み上げてきた良さを出してみようと、外国人採用を軸に原点にかえっています。

外国人採用が、昔ながらの日本企業の良さを引き出すきっかけになったのですね。最後に、これから外国人を採用したい企業の方へアドバイスをお願いします。

 川上部長 会社としてどういう人が欲しいのか、どういうセクションに加わってほしいのか、面接の段階から本人に伝えること大切だと思います。外国人は、日本の学生より短期計画でキャリアを考える傾向があります。語学勉強の都合や経済面の苦労もありますので、面接でも「入社後は直近1年でどうなっていますか」といった質問が多いです。

稲垣係長 入社後もその点は気を付けています。外国人社員の傾向で自分から相談をしないことが多いので、こちらからレーダーを張って「どこかおかしいな」というときに声掛けを行っています。あえて「月1回の面談」などは設定していません。「次のときに話せばいいや」と溜め込んでしまわないように。

 

中長期ではなく、短期のキャリア計画をすり合わせることが大切なのですね。本日は貴重なお話ありがとうございました!