「外国人」ではなく「人として」接する。
一歩引いて冷静になるのが、異文化コミュニケーションのコツ。
インドネシア技能実習生送り出し事業
PT.MINORI 営業マネージャー
木暮 七絵 様
東京外語大学のインドネシア語学科をご卒業後、日本の技能実習受入団体に就職。MINORIグループ代表との国際結婚を経て、2001年よりインドネシア在住。日本語学校の設立やオリジナル教材の開発、ジャカルタ日系企業での秘書、通訳・翻訳者等を経て、2010年10月より現職。2015年に埼玉県人会善行賞を受賞。
PT.MINORIについて
PT.MINORIは、日本へのインドネシア人技能実習生の派遣事業を行っているインドネシア企業。同社は技能実習生の派遣のみに留まらず、来日前の事前研修から帰国後のスキルアップに至るまでサポートしている。
2017年4月からは日本国内にも支店を設立し、技能実習中のフォローも可能となった。この日本支店にゴーウェル経由で採用いただいたのが、インドネシア人の「フィテさん」(愛称、28歳女性、採用当時)。現在は、支店の事務をこなしながら、技能実習生や受け入れ先企業からの相談を受けている。
「インドネシアと日本をつなぐエキスパート」である木暮マネージャーに、これから外国人採用を進めたい企業の心構えをうかがった。
当時、採用を検討された経緯を教えて下さい。
日本支店を立ち上げたとき、「技能実習生と受け入れ先企業の相談役」としてインドネシア人2名を採用しました。でも、2人とも1年で辞めてしまった。日本語ができるという理由で採用し、優秀でしたが、だからこそ「実習生と同じ目線」が足りていなかったのかもしれません。
この2人はインドネシアで採用しましたが、現地から呼び寄せるとVISAの申請に3、4か月かかる。立派な学歴がなくても、「実習生と同じ目線」に立てる、すでに日本にいて生活できている、すぐに働ける人材を探していました。
そこで、フィテさんが候補に挙がったのですね。
インターネットで検索してゴーウェルさんを見つけました。技能実習生と受け入れ先企業の通訳実績があったので実態を理解されていて、単純に優秀な人ではなく「実習生と同じ目線」という要望がすぐに伝わりました。フィテは派手なタイプではありませんが、聞いたことを自分のなかで消化してから言葉を出すような「慎重さ」がある。すぐに採用したいと思いました。実際に働き始めてからも「ここまでが自分の仕事」ということなく、なんでもやってくれています。100人もの女性が派遣されている受け入れ先企業で、実習生の病院に付き添うことも。代表からの信頼も厚いです。
これから外国人採用を考えている企業では、どんな準備をしたらいいですか?宗教の話題などはタブー視されがちです。
立派に準備をすることもCSRなどの観点から素晴らしいことですが、企業側が構えすぎるのも良くないと考えています。送り出す側としては、日本に来たからにはタフに成長して欲しい。ハラルフードの準備なんて要りません。実習生たちは自分で確認できます。「豚」という漢字を最初に覚えるのが、実習生の登竜門らしいですよ(笑)。働き始めたら不便なところを相談して、解消していけばいい。
宗教はイコール「習慣」で、ただ小さいころからやっていること。朝おきて顔を洗うのと同じ。なにかの宗教に入らないといけない決まりなので、親の代から続いているだけのことなんです。
(※インドネシアでは国家原則で唯一神への信仰が定められているため、ほとんどの人が何らかの宗教を信仰しています。主にイスラム教、プロテスタント、カトリック、ヒンドゥー教、仏教、儒教の6つです。)
イスラム教徒は意外とフレキシブルで、信仰心にも個人差がある。お酒を飲む人もいれば、飲まない人もいる。日本人にも上戸、下戸がいるのと同じ感覚で、カジュアルに話していいことなんです。
最後に、これから外国人を採用したい企業へアドバイスをお願いします。
インドネシア人は人懐っこい、だけどハニカミ屋。日本に来たばかりだと、日本語に自信がないことで、コミュニケーションが不足することも多いです。まずは「垣根」をはらう場をつくってみてください。バーベキューでもなんでもよいです。
そして、「外国人」ではなく「人間同士として」接する。外国人だいすき!になる必要はなく、むしろ一歩引いて冷静に。宗教についても同様で、人格とは切り離す。これがコツだと思います。
一歩引いて冷静に。国籍が違うということ以前に、人間同士として。シンプルで素敵な考え方が参考になりました。貴重なお話、ありがとうございました!